強欲な羊
美輪和音
・作者プロフィール
大良 美波子(だいら みわこ)は、日本の脚本家、推理作家。日本シナリオ作家協会会員。東京都出身。青山学院大学文学部卒業。シナリオ・センター東京校出身。
代表作に『着信アリ』シリーズの脚本がある。
・経歴
- 東京都生まれ。青山学院大学文学部卒業後、7年間のOL経験を経て脚本家になる。
- 1998年、テレビドラマ『美少女H』の脚本でデビュー。
- 2010年、美輪 宙(みわ そら)名義で第9回『このミステリーがすごい!』大賞に『ハナカマキリの変容』で応募するも最終選考で落選。しかしこの作品はのちに『ハナカマキリの祈り』として著者の2作目として出版となった。
- 2010年、美輪 和音(みわ かずね)名義の短編推理小説『強欲な羊』が第7回ミステリーズ!新人賞を受賞。同作は、ミステリーズ!に掲載。
あの有名なホラー映画である『着信アリ』シリーズの脚本を手掛けた大良美波子(だいら みわこ)さんが別名義で書いた短編推理小説『強欲な羊』
ここでは第7回ミステリーズ!新人賞を受賞し、小説家デビュー作である『強欲な羊』に少しでも興味を持ってもらえるように、この本のあらすじや見どころ、読んだ感想などを紹介しています!!
①イヤミス ⭐⭐⭐⭐
②オススメ度 ⭐⭐⭐⭐⭐
③読みやすさ ⭐⭐⭐⭐
④面白さ ⭐⭐⭐⭐
⑤ミステリ&ホラー⭐⭐⭐⭐⭐

[強欲な羊]
《あらすじ》
→美しい姉妹が暮らすとある屋敷にやってきた「わたくし」が見たのは、対照的な性格の二人の間に起きた陰湿で邪悪な事件の数々。
年々エスカレートし、ついには妹が姉を殺害してしまうが──。
その物語を滔々と語る「わたくし」の驚きの真意とは?
🌟見どころ🌟
女の嫉妬は怖い!
→気性の荒い姉(麻弥子)と大人しい妹(沙弥子)がいて、麻弥子が沙弥子をいじめている所から姉がオオカミで妹がヒツジと表現される場面があります。
しかし、妹は自作自演で本性はオオカミだと麻弥子は主張します。
タイトルの強欲な羊の意味を考えながら読んでいくのがとても面白く、最後にはタイトルに相応しい濃いイヤミスが待っているかも……。
[背徳の羊]
《あらすじ》
→『俺の子供は本当の自分の子供なのか!?』
篠田は妻(洋子)と子供(マコトとミノリ)に恵まれて幸せに暮らしていたが、一つだけ疑問を抱いていた。
それは、夫婦間で仲の良い水嶋家の子供(サトシ)とマコトがビックリするくらい似ていることだった。
ある時、篠田の元に妻が不倫をしているという情報が入った。
疑惑の相手は何と日頃お世話になっている水嶋であり、篠田は水嶋の妻(初音)と協力し真実を確かめようとするのだが……。
🌟見どころ🌟
夫の疑心暗鬼!
→最初は妻の不倫を信じていなかった篠田が徐々に妻を信用しなくなり、感情の起伏が激しくなっていく所の描き方が素晴らしいです!
[眠れぬ夜の羊]
《あらすじ》
→『あの日の夜、私は結婚するはずだった彼を奪った親友を殺した。』
不眠症で悩む塔子は幼馴染である明穂を殺害する夢を見てしまった。
不眠症となったのは、結婚を考えていた文彦を明穂に略奪されたことがきっかっけであったが、ある日、明穂が殺されたというニュースを耳にする。
不眠症のせいか自分自身で身に覚えのない行動をすることもあった塔子は、明穂の殺害が夢か現実か分からなくなっていた。
そんな塔子の元に警察がやって来て、事件は思わぬ方向へと動いていく……。
🌟見どころ🌟
主人公の苦悩!
→塔子の人を殺したかもしれないという心情以外にも、結婚の事や家族の悩みなど、人間のリアルな心内が描かれていて、きっとその部分にも共感するところがあるでしょう!
[ストックホルムの羊]
《あらすじ》
→国の王となるはずだった王子は身に覚えのない罪に問われ、暗い塔に幽閉されていました。
王子の世話係をしていたカミーラ、ヨハンナ、イーダ、アン・マリーたちは掟により外の世界に出ることは出来なかったが、王子の為に働くことに誇りを持ち、生きがいでもありました。
しかしある日、異国の姫だというマリアが来てから次第に王子はマリアに夢中になり、ことある事にマリアの方を持つようになっていた。
4人の世話係はそんなマリアに不信感を抱き、王子を殺すためにやって来た魔女だと考え、マリアを殺す計画を立てるのであった……。
🌟見どころ🌟
絶対に先入観を捨てて下さい!
→物語は中世の時代。可哀想な王子とそれに仕える女たち。
この話の見どころは何んといっても9割の人が作者が仕掛けた罠に引っ掛かり、騙される所です!
自分は引っ掛からないと自信のある人は是非、読んでください!
[生贄の羊]
《あらすじ》
→『羊目さん、私はあなたの生贄です。どうぞお受け取り下さい。』
トイレの個室に監禁された3人の女性。
目が覚めるとそこは公衆トイレの中だった。
1人は10代の女子高生、1人は20代のOL、1人は30代の主婦と接点が全くない。
この町では羊目の女に捕まる前に『私の身代わりの羊は✖✖です』と身が割るにしたい人の名前を3回唱えれば、✖✖が1週間以内に足を切断されて死ぬという都市伝説がある。
3人に共通点があるとすれば、羊目さんの生贄になったかもしれないという事だけであった。
そんな中、暗闇の中から不気味な足音が聞こえてきて……。
🌟見どころ🌟
オールスター大集合!!
→最後まで読んだ人だけが喜ぶ仕掛けがあり、なんと1~4話までに登場した人物が再登場し、同じ世界線に集まります。
それぞれの話が意外な形でリンクしている所が面白いです!
どんな人におススメか
→イヤミス作品が好きな人
→短編小説が好きな人
→続編シリーズが好きな人
にオススメな作品だと思います!
読んだ感想
→とにかく内容の濃い、イヤミス短編集!!
本書は羊をテーマとした5つの短編集から構成されており、『羊』は私たちのイメージではふわふわして可愛らしく、大人しいという印象がありますが、本書で出てくる羊はその真逆。
一見安全そうに見える人が実は羊の皮を被った狼で、とても怖い一面をもっているかもという事を表しています。
イヤミスとは読んだ後にいやな気持になる事でイヤミスと呼ばれているが、作者がホラー作品をいくつも手掛けている事から本書は、他のイヤミス作品とは少し違ったホラー風味の強い内容が楽しめます!
またこういった短編集は、人によって好きな物語が別れると思いますが私は『ストックホルムの羊』が今までに見たことの無いような裏切りがあって、個人的には1番面白かったです😵
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