暗黒な羊
美輪和音
・作者プロフィール
大良 美波子(だいら みわこ)は、日本の脚本家、推理作家。日本シナリオ作家協会会員。東京都出身。青山学院大学文学部卒業。シナリオ・センター東京校出身。
代表作に『着信アリ』シリーズの脚本がある。
・経歴
- 東京都生まれ。青山学院大学文学部卒業後、7年間のOL経験を経て脚本家になる。
- 1998年、テレビドラマ『美少女H』の脚本でデビュー。
- 2010年、美輪 宙(みわ そら)名義で第9回『このミステリーがすごい!』大賞に『ハナカマキリの変容』で応募するも最終選考で落選。しかしこの作品はのちに『ハナカマキリの祈り』として著者の2作目として出版となった。
- 2010年、美輪 和音(みわ かずね)名義の短編推理小説『強欲な羊』が第7回ミステリーズ!新人賞を受賞。同作は、ミステリーズ!に掲載。
あの有名なホラー映画である『着信アリ』シリーズの脚本を手掛けた大良美波子(だいら みわこ)さんが別名義で書いた短編推理小説『強欲な羊』の続編である『暗黒な羊』
ここではイヤミスであり、ホラー作品である『暗黒な羊』に少しでも興味を持ってもらえるように、この本のあらすじや見どころ、読んだ感想などを紹介しています!!
①イヤミス ⭐⭐⭐⭐
②おススメ度 ⭐⭐⭐⭐⭐
③読みやすさ ⭐⭐⭐⭐
④面白さ ⭐⭐⭐⭐⭐
⑤激アツな演出 ⭐⭐⭐⭐⭐

[炎上する羊]
《あらすじ》
→『やめてよ、撮らないで。無様に死んでいく様をネットに晒すつもりなの!?』
不動産会社で働く信隆の18歳年下の妻(穂乃花)は無趣味であったが、あることがきっかけでSNSにのめり込んで行く。
それは彼女がひき逃げや通り魔事件の動画をSNSにアップした事から、ネット上で死の女神と崇められ次第にエスカレートし、過激な動画の投稿がやめられなったりと良いものではなかった。
信隆はそんな穂乃花の暴走をあの手この手を使い、止めようとするのだが……。
🌟見どころ🌟
承認欲求は人を狂わせる!
→SNSが発達してから他人からの『いいね』数で争いが起きるような時代になったと思います。
みんなに認められたいという承認欲求は誰しもが抱く感情であり、それ自体は悪いことではありません。
しかし、思いが強くなったその先に幸せな結末は待っているのでしょうか?
[暗黒の羊]
《あらすじ》
→殺人事件で何人もの死者が出た古い廃洋館があり、そこで出てくる羊目の女に捕まる前に『私の身代わりの羊は✖✖です』と身代わりにしたい人の名前を3回唱えれば、✖✖が1週間以内に足を切断されて死ぬという都市伝説がある。
とある3人の女子高生、美月、夢、玖理子は『自分を拉致した誘拐犯』、『自分を虐めていたクラスメイト』、『兄に付きまとうストーカー』の名前を唱えたが、逆に夢と玖理子が死んでしまうのであった……。
羊目の女の真実とは一体何か、都市伝説に踊らされる女子高生を描く学園ミステリー!!
🌟見どころ🌟
仲間外れは追い出せ!
→皆さんは『黒い羊』の意味をしっていますか?
日本には周りと違う人の事をよく思わない風潮があり日本に、黒い羊とは集団の中で異質な存在の事を表します。
あなたは自分がもし『黒い羊』だったら、果たして皆と仲良く出来るでしょうか?
[病んだ羊、あるいは滑稽な羊]
《あらすじ》
→『知らない男が家の中にいる! あの人は灰原省吾じゃない。』
隣人の叫び声を聞き、駆け付けた私が見たものは、家に知らない男がいると主張する女性(灰原詩織)と自分は夫だと主張する男(灰原省吾)の奇妙な光景だった。
詩織に助けを求められた私は、気味が悪くなりその場から立ち去るが、その日から詩織の姿を見ることはなかった。
だんだんと自分の行動に負い目を感じていた私は、灰原省吾と名乗る男の素性を探っていくのだが……。
🌟見どころ🌟
真実はどっち!
→助けを求めてきた女性は私に優しくしてくれた信頼できる人で、夫と名乗る怪しい男はイメージと真逆の紳士で爽やかな男性。
あなたならどちらの言うことを信じますか?
[不寛容な羊]
《あらすじ》
→『正義のためだ。 僕は正義の活動をしているんだ。』
凍える寒さから身を守るために訪ねた雪山にある老人宅。
私がそこで見たものは、老人の子供とは思えない3人の女性と1人の少女だった。
動揺する老人、ラジオで流れる女子高生誘拐事件、腕に残る無数の傷跡、正義感に溢れた私は老人から女たちを助けようとするのだが……。
🌟見どころ🌟
女たちのアナザーストーリー!
→この話では前作の『強欲な羊』に登場した人物が出てきます。
幼少期に誘拐され、何十年物間部屋に監禁されていた少女たちは家族の元に戻ることができたが、幸せな暮らしは出来たのでしょうか?
[因果な羊]
《あらすじ》
→『すべては因果でつながっているのです。』
果歩子と真行寺 は高校時代に、都市伝説の舞台となった廃洋館にて羊目さんの儀式を行ったことがあり、真行寺からの誘いで17年ぶりにその場所に訪れることになった。
そこで工藤と名乗る探偵に出会い、物語は最悪な方向に動き出す。
『暗黒の羊』、『病んだ羊、あるいは滑稽な羊』、『不寛容な羊』それぞれの因果が絡みだすサスペンスミステリー!!
🌟見どころ🌟
繋がる点と点!
→あなたは物語で出てきた登場人物がその後どうなったか、気になったことはないでしょうか?
ここでは 『暗黒の羊』、『病んだ羊、あるいは滑稽な羊』、『不寛容な羊』 それぞれの内容、登場人物がリンクし物語が第二章へと動き出します。
物語の残り数ぺージでのドキドキ感に本を読み進める手は止まりません!!
どんな人におススメか
→イヤミス作品が好きな人
→1話完結作品が好きな人
→ホラー作品が好きな人
にオススメな作品だと思います!
読んだ感想
→作者の得意ジャンル『ホラー』要素がたっぷりと詰まった作品!!
『強欲な羊』の続編であり、前作を読んだ人からすると登場人物が再度出てくるなど、かなりテンションが上がりました。
また短編集はその1話で完結が多いのですが、この作品はその後のストーリーや話が繋がっていたりなど嬉しい仕掛けがたくさんあります。
個人的には最後の『因果な羊』の後半、真実が分かりかけてからのドキドキ感がとても面白く、ホラーの演出はまさに作者の代表作である『着信アリ』を彷彿とさせ、かなりこわかった😫
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