【ネタバレ】真梨幸子『祝言島』考察を含む内容解説!感想など

ネタバレ
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祝言島

真梨幸子



イヤミスの三大女王の1人として人気のある真梨幸子さんの作品の1つである『祝言島』



見どころとして二度読み必須の超絶技巧ミステリー!!と説明されているように、登場人物が複雑だったり言葉の意味が難しかったり、物語のラストに一気に複線回収がされたりと、読み終わった後に??と頭の中がパンクしている人が多いと思います。



このページではそんな『祝言島』ネタバレ、内容解説を細かくやっていきたいと思います!



             

  




      ①イヤミス ⭐

②おススメ度 ⭐⭐⭐

③読みやすさ ⭐⭐

④面白さ   ⭐⭐⭐

⑤ミスリード  ⭐⭐⭐⭐⭐

 




解説に移る前に、この物語のなかで押さえておきたいワードが3つあるので、まずはそこから確認していきましょう!

 

 

  • 祝言島(シュウゲンジマ)別名:ホカイシマ

→かつて小笠原諸島の南端にあったとされる島にまつわる都市伝説。

昭和39年、東京オリンピックが開催される年に島の火山が噴火したとされているが、そんな記録は残されておらず、ネット上では「祝言島」存在しない島とされている

 

 

  • 十二月一日連続殺人事件

→11月30日深夜から12月1日の夜にかけて起きた、3件の殺人事件

計3名が殺害され、最初に殺害されたのは、一部では演劇界のカリスマと呼ばれていた一ノ瀬マサカズ

12月1日未明、ホテルで惨殺死体が見つかった。


2人目は、元ポルノ女優の七鬼百合

同時刻に自宅のアパートで何者かに襲われ、搬送先の病院で死亡。


3人目は、女優の国崎珠里

12月1日の夜に自宅マンションで惨殺死体で見つかった。

 



  • ロボトミー手術

→脳の一部を切り取ることによる副作用で、人工的にその人の性格を変えてしまう手術

しかし、成功もあったが当然リスクもあり、時にはてんかん発作や人格変化、無気力、抑制の欠如、衝動性などの重大かつ不可逆的な副作用が起こることもあった。

 

 

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あらすじ


イントロダクション


→ある日突然、置手紙だけを残していなくなった母親を探すために、母の知り合いだという大倉悟志の元を訪ねる皐月。

しかし、なんの手掛かりも見つけられず家に帰った皐月は、そこで何者かに襲われてしまう。

目を覚ますとそこは救急車の中で、話を聞くと自分が部屋の中で練炭を焚き、自殺をしようとしていたというのだった。

その後皐月は、ぺドラムクリエイティブという制作会社でのバイトを母に勧められ、十二月一日連続殺人事件の真相を追ったテレビ番組のテープチェックを行うことになります。

 

珠里/ジュリ編


→売れるためにと三ツ矢から長寿番組である『ファミリー・ポートレイト』を勧められ嫌々ながら番組への出演を決める珠里。

しかし三ツ矢には、珠里の成功を邪魔している存在であるルビィと一ノ瀬マサカズことが気になっており、そんな中なぜか、スタイリストのサラ・ノナが2人を消す協力をしてくれるのであった。

 


紅玉/ルビィ編


→三ツ矢の助言通りに一ノ瀬マサカズと一夜を共にしたルビィ。

そんな中、ルビィの母親である百合から「私、死ぬから」という連絡が入り、急いで実家のアパートに戻るルビィだったが、なぜかそこでサラ・ノナと出会う。

百合は意識不明の状態で、ルビィは事件について警察から事情聴取を受けるが、その内容は百合に関してではなく一ノ瀬マサカズが死んだことに対する事情聴取で死の直前にルビィと会っていた事でルビィが犯人として疑われるのであった。

 

百合/リリィ編


→ドキュメンタリー映画を作ろうと素材集めに訪れた島で嘉納明良は百合と出会い、手記を書くことを勧める事で百合との関係が始まる。

百合が自分の事を好きだと感じていた嘉納はそれを利用し、劣等感を感じながらも映画の製作費としてお金を受け取ったり、時には性行為を行ったりしていた。

そんな時、百合から妊娠した事を告げられるが嘉納は「自分にはそういう能力がない」と妊娠を信じていなく、そのことが原因で嘉納は百合との関係を切るのであった。

 



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物語の真相

 

まず大前提として、読者は色々出てくる登場人物が

国崎珠里=七鬼紅玉


嘉納明良=九重サラ=サラ・ノナ=東雲アキラ

だったことに衝撃を受けたと思います!!

 

そして十二月一日連続殺人事件の犯人は『嘉納明良』でした



まずアパートにいる百合を訪ね、殺害しようと殴打。


その後、サラ・ノナとしてホテルに向かい一ノ瀬マサカズを刃物で滅多切りにして殺害。

その後、百合の死を確認しにアパートに向かったがルビィと遭遇してしまい、」発見者を装い110通報。

その後、国崎珠里のマンションに向かい、彼女を殺害する 

これが事件の真相でした。

 

しかし、その他にも嘉納が殺した(殺そうとした)人物としてイボやん、九重皐月、の2人がいます。

 

嘉納はなぜ、これらの人物を殺害した(殺害しようとした)のでしょうか??

 

それを紐解くに前にまずは祝言島に真の姿をおさらいする必要があります。

 

祝言島の秘密

 

→祝言島は実在する島であり、戦時中、胎盤が栄養源として重宝されていた時代に、戦争中の食料不足を解消するためにヒトの胎盤を利用しようと、その実験が祝言島で行われていました。


そして子供を産ませる為だけの存在として、9人の女性たちが島に連れて来られます。


その女性達から産まれた子供たちには1から9までの数字を名字に入れ、誰がどの母親から産まれたのかを区別していました。

島や本土で素行不良とみなされた子供は教護院に送られ、素行を正すためにロボトミー手術が行われていた。

そして島ではアイスピックを左右の瞼の裏に差し込む、『アイスピックロボトミー』という手術が行われており、七鬼百合やイボやん、国崎珠里、嘉納明良はその手術を受けており、手術痕が残っていた。

 


犯行動機


犯行動機、簡単に言うとそれはロボトミー手術による衝動と祝言節の歌詞によるもの!!

そーれそれそれ そーれそれそれ

人のもの とるやちゃ

こども ひまご そのまたこども

うらみ うらまれ ねだやし ころり

ねじって つぶして きざんじゃる

そーれそれそれ そーれそれそれ

 

という悪いことをした子は、子々孫々まで根絶やしにしなくてはならないという歌を嘉納は教護院に入れられた際に繰り返し聞かされており、

 

自分の同性愛という周りと違う性癖を自覚していた嘉納はその歌の通りに実子を殺していったのでした……。



・イボやん(八代勝子)

→大倉悟志の親戚

同性愛者だった嘉納は中学生の頃、教護院に入れられロボトミー手術を受けました。

そしてその反動で嘉納は女性をいたぶる事に興奮を感じるようになり、イボやんはその被害を受けて殺されます。




・一ノ瀬マサカズ

→嘉納と一ノ瀬琴美との間に産まれた子供

嘉納と血の繋がりを持つために殺された。




・七鬼百合(リリィ)

→嘉納は、祝言島の9人の母親から産まれた子を根絶やしにすることが自分の使命だと思っていたから、その子孫である百合を殺した。




・九重サラ

→人格の1人である東雲アキラが、女性の心が芽生えた嘉納を本物の女性とするべく戸籍を奪うために火事を起こし殺害した。

そして火事で嘉納明良が死んだことにして、嘉納は九重サラとして生まれ変わる。




・九重皐月(メイ)

→皐月はルビィと三ツ矢との間に出来た子供で、その子をサラ・ノナが預かったことで皐月は母親が九重サラ(サラ・ノナ)だと思い込んでいた。

嘉納は皐月が自分と血が繋がった孫だったから殴りつけ、縛り、m練炭を焚き、自殺に見せかけ殺そうとした。




・七鬼紅玉(ルビィ)=国崎珠里

→タレントとしてなかなか芽が出なかったルビィは架空の人物である『国崎珠里』に整形し田舎者という設定を付けたりと、キャラ変して再デビューすることとなった。

しかし、そのタイミングで三ツ矢と妊娠が発覚し、罰として精神外病院に入れられロボトミー手術を受け、『ルビィ』と『珠里』という2つの人格を持つ多重人格者になってしまった。

ルビィは嘉納と百合との間に産まれた子供で、嘉納と血の繋がりがあるために殺された。




ルビィが珠里だと匂わせる描写


①P103の珠里編:ああ、そうだった。私は、珠里。国崎珠里

→珠里であることを思い出しており、元はルビィだったことの匂わせ


②P105の珠里編:昔の自分なら

→珠里として生まれ変わる前のルビィの頃のこと


③P112の珠里編:お前はどんな田舎者だ?

→ルビィに珠里としての設定を忘れてないか、三ツ矢が聞いている

④P124の珠里編:君のご家族で、芸能関係の人は? または、かつて、芸能界にいた人は?

→大倉悟志と七鬼百合が知り合いで、整形した珠里に似た面影があったから






⑤P186の珠里編:手塩に創り上げた珠里

→三ツ矢がサラ・ノナに言われた一言で、普通だったら「育て上げた」と言いそうな所を人格ごと変えた為、作り上げたと表現している。



読んだ感想

 

→読んだ感想としては、もともと相関図が必要になるくらい登場人物や話の内容が複雑と、口コミを見ていたので注意して読んでいたのですが、後半の情報量が多すぎて頭の中がパニックになりました。



しかし、ほとんどの登場人物の名前に1~9の数字が入っていたり、表紙の綺麗な顔立ちをした対になっている女性の絵は二重人格である『ルビィ』と『珠里』を表しているのではないかなど、


2度読みをし、初めは気づかなかった複線や登場人物の関係性を知ることで、さらに面白さが増しました!


登場人物が実は同じ人でした!!とい展開はよくありがちな設定ですが、あんなに多くの人物が同一人物だったのは想定外で、まんまと騙されました😆



祝言島 (小学館文庫)

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